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 H13年11月末に、大阪の石橋様より、ドラフティングレースに
ついて行なった分析結果をお送りいただきました。
 石橋様にご了解いただきましたので、以下にご紹介します。

  ドラフティング許可ルールの影響

 94年にドラフティング許可ルールがトライアスロンレースに採用されて7年がたちました。ITUワールドカップ全戦でこのルールが採用され、日本国内でも95年の関西空港トライアスロン大会に導入されたのをきっかけに、トライアスロン日本選手権大会、スプリント選手権、昨年は関東ブロック選手権にもこのルールが採用され、拡大される傾向にあります。
 そこでドラフティングルールがレースにどのような影響を与えるのかを研究するために、ほぼ共通のメンバーでレースをした96年の長良川国際と日本選手権波崎大会を総合順位とスイム・バイク・ラン各順位との相関関係、各種目のタイムの分布について比較検討した。

結果
 総合順位とスイム順位の関係(図1-1、図1-2)は波崎では相関関係が全くなかった(0.0126)が長良川ではわずかながら相関関係があった(0.285)。


 総合順位とバイク順位の関係(図2-1、図2-2)は相関係数が波崎が0.337、長良川0.644でドラフティング禁止ルールで行った長良川の方がバイク順位が総合順位に大きな影響を与えていた。


 総合順位とラン順位の関係(図3-1、図3-2)では波崎が相関係数が0.754と最も高くランの順位が総合順位に大きく影響していた。長良川では相関係数が0.675でバイクの相関係数とほぼ同じくらいだった。


 スイムタイムの平均と標準偏差は波崎22:12±1:01、長良川23:29±1:55で分布からも波崎の方が短時間で殆どの選手がスイムを終了していたことを示している。
 バイクタイムの平均と標準偏差は波崎59:04±3:14、長良川1:04:53±2:42だった。分布からは波崎では56:08がバイク最高タイムで35/44名の選手が59分以内の記録だった。長良川では最高タイムが1:00:09で30秒毎に4から8名で比較的むら無く分散している。
 ランスタートでは波崎では1:20:01までに29/44名の選手が先頭から1分20秒の差でスタートした。長良川では1:28:00をピークに分散してランのスタートをしている。 ランタイムの平均と標準偏差は波崎36:58±3:14、長良川42:52±4:31で長良川の方が暑さの影響でタイムは悪かった。タイムの分布は両方とも比較的むら無く分散していた。

 総合順位とスイム・バイク・ラン順位の多重回帰分析では
波崎大会がY=0.154S+0.348B+0.779R-6.751
       相関係数=0.9024、
長良川がY=0.248S+0.376B+0.629R-9.144
       相関係数=0.9694
で両方ともランの順位が総合順位に最も影響しているという結果が示された。

考察
 トライアスロンの競技距離はアイアンマンに代表されるS=3.9 B=180.2 R=42.195のロングタイプの距離はオワフの遠泳大会、オワフ島1周の自転車レース、ホノルルマラソンの距離が起源とされています。  51.5Kのトライアスロンは3種目バランスのとれた距離としてアメリカのUSTSで全米各地で開催された。日本では1987年にJTSとして天草で大会が開催され全国に広まり、オリンピックの正式種目としてもっとも一般的なトライアスロンとして広まっている。
 同じ51.5Kのレースでもドラフティングを禁止するか許可するかでレース展開が大きく異なる結果が、バイクパートのタイムの分布とランスタートの分布に現れている。長良川のバイクタイムは1時間1分から10分間の間でむら無く分布しているのに比べ、波崎では35/44名が59分以内にバイクパートをクリアしている、長良川と同じ様なメンバーのレースでバイクパートにこれだけの差が現れたのは、ドラフティング許可による駆け引きの影響であると言うことが出来る。結果としてランスタートでは波崎では先頭から1分20秒以内に29名がスタートしランの順位が総合順位を決定しているような分析結果となった。

結論
 スイム・バイク・ランの3種目に力のある選手が勝利をおさめるのがトライアスロンだった。しかし今回の分析の結果はドラフティングルールでは(1)スイムで遅れない、(2)最後のランに強い選手が勝利を収めるということが出来る。
 私はドラフティング許可のレースを否定するつもりはないが、これからのトライアスロンを魅力のあるスポーツにするためには関係者がもう一度検討してみる必要があるのではないでしょうか。

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