2010佐渡国際トライアスロン大会
2010.9.05
1.序
ラストオロロン以来のトラ大会参加。何を準備すればいいのやら忘れてる。でも、結局は別に特別なものはないんだよな。エントリーがBタイプであるということも、距離に対する不安がないので緊張感がない。問題は夏の暑さだけ、、、
2.スイム(2.0km)
スイムは右回り三角形のコース。2.0kmは長かった、、、
けっこう後方からスタートしたつもりだったが、泳ぎだしたらいつの間にか周りに人がいっぱい。スイムでバトルなんて、何年ぶりだろうか(もっともトラ出場自体、ラストオロロン以来だけど)。
今回、いつも使っているゴーグルと、予備にもう何年も使ってない古いゴーグルを持っていった。佐渡にわたる当日、新潟市に住む友人と昼食をご一緒した。その際、フェリーが18時過ぎなので午後暇だ、と言ったら、スポーツクラブのチケットをくれた。本番用の用具は荷物の中で分けていたので、このときは予備の古いゴーグルで泳いだ。すると、なんだか使い心地がよい。それで、本番でもこれを使うことにした。
ところが、やはりゴムが劣化して硬くなっていたのだろうか。前方確認のためにヘッドアップするので、頬の筋肉が上下に動く。するとわずかに隙間ができるのか、少しずつ海水がにじんで入ってきた。それに気づいたのは最初のブイを曲がる少し前だから500mほど泳いだところだろうか。こりゃまずいな、、、
とりあえず、いったん立ち泳ぎしてゴーグルに入った海水を出す。以降、頬の筋肉を動かさないよう気をつけてヘッドアップ・・・
第1ブイを周ると第2ブイらしきものも見えるが、ボードに乗ったライフセーバーにも見える。どっちだかわからないけど、まぁ、みんなの頭がそっちに向かってるからそっちに行くかぁー。
途中、左の変な方を泳ぐ人、それを追いかけるセーバーの姿などが見える。あわてて自分の位置取りを確認。
第2ブイを周ると、ゴール方向がよくわからない。自分の周りに泳いでいる人がほとんどいなくなり、離れたところにAタイプの赤いキャップの人、ライフセーバーの姿は見えるが、コース取りの参考にならない。ふと、左前方にブイが見えた。あれっ?いつの間にか内側に入っちゃったのかな?
そっちに少し進んでみるが、どうもおかしい。どうやらコースの外側にもブイがあったらしい。おかげで大きく蛇行することになった。
しばらく進むとセーバーが数人を引き連れる?というか、誘導するように私の前を斜めに横切って進んでいるのが見えた。この時点まで、私はゴール地点の目印を勘違いしていた。変だなと気づき、立ち泳ぎしてゴールを確かめようとするがよくわからない。近くにいたセーバーに聞く。「あの赤い柵みたいなのがゴールですか?」「いや、青いやつです。」
青いのがどこにあるのかわからなかった。でも、赤はたぶんスタート地点を囲っていたやつだから、そんなに方角は違わないだろう。とりあえず赤いほうへ向かう。すると、じきにそのすぐ隣に青い絨毯が敷かれたゴールが見えてきた。
それにしても、前日試泳のときにも思ったが、海の水がきれい。海底はもちろん、そういえば近くで泳ぐ人の姿も見えていた。ゴールが見えてきたら、急に海底も目に入るようになってきた。やっぱり緊張してたのかな、、、
ゴーグルの水浸入は、その後はほとんどなかった。
足がつくところまで戻り、立ち上がって後ろを振り返ると、まだ泳いでいる人がいた。ふぅ、びりではなかった、、、
時計を見るとほぼ60分くらい。目標の55分には及ばなかったみたいだが、大きく蛇行したことを考えるとほぼ普段通りの泳ぎだったと思われる。
【公式タイム 1時間03分 671人中612位】
3.バイク(105km)
スイムはいつものごとくほぼ最後尾で、見事に下位10%入り。でも、これだからバイクは楽しくなる。何でみんなそんなにゆっくり走ってるの? と思うくらい、まったく違うスピードで次から次へとごぼう抜き。
最初は国仲平野を横断するのでほぼ平坦。30km位で海岸線沿いに出るとややアップダウンが始まる。少しスピードを抑えようかな、と思うのだが、登り坂では止まりそうなスピードの人が前に見えたりするので、ついつい勢い良く抜いてしまう。2人ほど、リレーの部に参加の人が抜き返してくるようになった。最初は、私よりあとにスイムをあがったチームのバイクのスペシャリストが抜いてきたなと思って後姿を見送ったのだが、すぐにスピードが落ちてくる。どうも私に抜かれて意地になっただけらしい。私も気がまぎれた。
50kmくらい進んだところで、私自身のスピードも落ちてきたと言うか、ごぼう抜き状態も落ち着いて、前の人とのスピード差があまりなくなってきた。それでもまだ抜き続けている。ここまでで2時間弱。100kmを4時間ペース。なかなかいい感じ。
60kmくらいで大体まわりと同じペースになってきた。追いつくけど、そのまま一気に抜き去るほど差がないという感じ。80km地点にこのコース最大の登り坂がある。それに備えて少し抑えることにする。
ところで、今回、気温が例年になく高くなりそうだとのことで、主催者側のほうでも給水を直前になって大奮発して、当初はボトルを用意する給水所を3箇所の予定だったのを全箇所で用意するよう変更した。これは助かった。いつも私はスポドリ、コーラばかりで、水を取ることはほとんどない。しかし今回、水のボトルをもらい、最初は頭にかけてみた。これはヘルメットがはじいてしまい、ほとんど入ってこない。それでおでこから顔面に直接かけてみた。すると気持ちよい。冷水だということもあるが、顔面のべたべたした汗もすぅっと流され、汗の膜が取れて直接風が皮膚に当たるという感じ。すっかりやみつきになってしまった。何年も自転車に乗っていて、初めて知った快感だった。
80km地点、通称「小木の坂」直前のエイドで、いったんバイク降車し、ヘルメットも脱ぐ。100kmだったら一気にいけるとは思っているが、なんせ練習不足なので、用心して最初からここで10分くらい休憩の予定だった。
まず、顔面水かけが気に入ったので、空きかけていたマイボトルのアクエリアスを飲み干し、水を入れる。コーラを一本もらい、バナナを食べながら飲む。ここまでは予定通り。
さぁて出発するかぁ、と直前に水をもう一本もらい、ヘルメットをかぶる前に頭から水をかぶった。すると、上着から股間まで水浸しになる。それは想定していたが、股間が濡れたら急に尿意を感じた。とりあえずトイレへ。出てきたらエイドのおばちゃんがニコニコと寄ってきて、「何かいりますか?」と聞くものだから、思わず「コーラ」と言ってしまった。予定の10分を過ぎたけど、まっいいかぁ、、、
きょろきょろすると少し離れたテントにオレンジやら梅干やらが見える。欲張ってほおばると、急に気持ち悪くなってしまった。そんなバカなぁ、、、
気のせい、と思おうとしたが、なんだかドキドキしてくる。うぅ・・・、どぉしよぉ・・・
数分(と思う)、木陰でじっとした後、そろそろとヘルメットをかぶり、動き出すことにした。こんな状態で小木の坂を登れるのかな、、、
50mくらい前を行く選手が、坂にかかったとたん急に降車した。えっ? 何だ? と思ったら、チェーンをはずしただけだった。あらら、なんか不吉、、、
と思う間に、坂にかかる。まだ気合が入ってない状態のままなので、最初からインナーローにしてゆっくり登りだす。前方に、その私よりも遅く、止まりそうになりながら登っている人が見え、抜く。降りて押して歩いている人も見えた。そんなのを見ていたら、だんだん私のエンジンがかかってきた。
この坂は何度か走っている。きついのはごく最初だけで、徐々に緩くなることを知っていたのも元気が出る素だった。登りきるころにはほとんど回復。
周りは選手がばらけていたので、少し休憩したとはいえ、もはやごぼう抜きにはならない。残り20数kmということもあり、ときおり足を休めたりしたので、何人か同じ人と前後するようになった。それでも抜かれるより抜くほうが多い状態で、100km地点通過。
残り5kmを切ってから、ほぼ平坦路なのだが長く感じた。
日射がきつい。最後3kmはランと併走する。時刻はちょうどお昼の12時。お天道様が頭のてっぺんだぜぃ・・・
【自己計測 4時間10分 バイク順位340位相当、通過順位410位相当】
4.ランはやめてリタイア
何が何でも完走してやる!、という気は最初からなかった。
スイムは少々苦しいなりにも楽しく泳ぎきれた。
久々のバイクはなぜか休憩時にちょっと具合悪くなったけど、走行中は適度なアップダウンとめまぐるしく変わる景色。時々見覚えあるところがあって懐かしく思ったりで、ずっと気分良かった。
さて、この天気でランはどうだろう。。。どう考え立って、5kmも走れれば御の字。制限タイム的には、20kmを9時間かけたって良い。最初から歩いたって間に合う。でも、炎天下に20kmも歩きたくない。楽しくなるわけがない。
バイクゴールで降車し、トランジットのラックにバイクをかけたところでそのままリタイア申告した。ランに入ったところが計測ポイントなので、私のバイクの公式タイムは出ず、記録的にはバイク途中でリタイアとなった。
手元の時計で4時間10分くらい。バイク完走者663人の中に当てはめると、340位相当とちょうど真ん中の成績。200人くらいバイクで抜いていた。
リタイア申告し、とりあえず水分補給へと歩いていたら、急に両脇腹に突き上げる感覚。そう、脱水の症状。スポドリ、ゼリー飲料、バナナなどはしっかり取っていたのになぁ、、、
アイシング用のたらいに、上位ゴールした人と一緒にしばらく浸かる。一息ついた後、宿泊しているテント場に戻る(徒歩3分くらい?)。まだ競技中でトランジッションエリアに置いている道具は取りにいけない。空いているうちに風呂に入ろう、と近所のお風呂で汗を流し、水風呂に浸かってもう一度身体を冷やす。
会場に戻るとトランジッションエリアに立ち入りできるようになっていたので、道具の回収をしてテント場に戻ったら、急にまた身体がほてってきた。熱が出てきた感じ。テントで横になるが、まだ15時過ぎ。テントを張っているところは木陰で日射は当たらないが、気温は30度を超えていそう。車に避難し、車中でエアコンかけて横になっていたら、いつの間にか寝ていた。
やっぱり、ランをやめてよかった、、、
<完>
第20回 日本海オロロンライントライアスロン国際大会兼北海道選手権大会
2006.8.27
北海道では8月27日に、北海道マラソンの裏番組として、北海道の日本海側北側の海岸線(通称オロロンライン)において、日本最長距離を誇るトライアスロン大会が開催され、出場してきた。
道マラは酷暑で過酷なレースとなったようだが、こちらは最高気温26℃。北海道独特のからっとした晴天。風は涼しい。それでも陽差しはきつく、特に夕方の時間帯となるランでは日本海に沈む夕陽がかなり堪えたようで、例年よりタイムを落としている人が多かったようだ。夕焼けはきれいだったんだけど。
このオロロントライアスロン大会は、諸般の事情により、第20回の今回をもって閉幕することとなった。このアナウンスは事前にあったので、今大会はこれまで開催してくれた主催者および関係者に感謝しよう、と、北海道の常連参加の選手を中心に呼びかけがあり、例年とは少々異なる雰囲気があったように思う。具体的なことは参加した事のある人じゃないと説明がしにくいことが多いのでここでは省略するが、例えば、エイドごとで「20年間、ご協力ありがとう」とお礼を言っている選手もいた。
また、諸般の事情のひとつとして、留萌管内9市町村・全長200キロに及ぶにわたるコースに配置するボランティアが高齢化により確保することが困難になった、というのが挙げられていた。そう言われて、今回意識してバイクコースを走ってみると、確かに炎天下の中、数キロおきに高齢のおばあちゃんが交通整理に使う棒を持って椅子に座っている。コース誘導なのかもしれない。あるいは、途中で選手にトラブルがあった場合の連絡係りなのかもしれない。選手がまとまってきていればそれなりに気も紛れようが、時には数分おきにポツリ、ポツリとやってくるようなこともある。ランと違ってバイクの場合、目の前を一瞬で通り過ぎるから、選手と会話するようなこともない。せいぜい、「がんばってぇー」「はぁーい」くらい。今回は炎天下の中だったが、年によっては風雨の中だったこともあっただろう。そんなことを3時間もやってるなんて、すごすぎる。
5年位前まではこの大会も人気大会で、出場権を得るのに抽選があったが、ここ数年はトラ大会全般にそうなのだが、定員割れしていた。しかし今年はファイナル大会ということで、1度は出てみたい、という人や、昔出たことあるけど最後にもう一度、という人などがいたのか、2割くらい定員オーバーをし、抽選となった。
そういったこともあって、今年の参加者は、出たくても出られなかった人の分もがんばる、という人もいた。記録よりもレースを楽しんで、コースを味わってゴールすることを目標にしている人もいた。また、総合優勝についても、4年連続1位と2位の人の因縁の対決が昨年から興味をもたれていたが、今年はそこにリレーの部でそれを上回る可能性のあるチームがエントリーしてきて、上位の駆け引き、争いについても目を離せないものとなっていた。
今年は、そんなこんなで話題が豊富で、これらを収録したビデオ(DVD)が発売されるのが楽しみである。
私自身の結果についても簡単に書くと、スイム(2.0km)は予定通りの48分( 位/ 人中)。
バイク(200.9km)に入って、最初は絶好調。ぜんぜん練習不足を感じない。足がよく動く。昨年に比べて参加人数が多いためか、前にいっぱい人がいる。次々とごぼう抜き。そんな状態だから少し抑えたいと思いつつもついつい飛ばしてしまう。追い風のせいもあるだろうが、昨年はせいぜい33km/h程度のスピードだったが、今年は37〜42km/hも出る。給水に関しても、からっとした気候のおかげと事前に飲んだ胃薬の効果もあるのかスポドリがおいしく飲める。まぁ、行けるところまで行くさ。と開き直ったのがやっぱり悪かったのか。
50キロくらいまではほとんど平坦だが、それを過ぎると軽いアップダウンを繰り返すようになる。70キロくらいで、右ひざに痛みを感じ出す。昨年も150キロくらいで同様の症状が出た。でも、残りが少ないから何とかしのいでバイクゴールだけはしよう、と気力を振り絞った。しかし、今年はまだ前半戦。先が長い。とてもそのまま我慢していけるとは思えない。そう思った瞬間、戦意喪失。80キロ地点のエイドでリタイア宣言。
以後、仲間の車に乗って応援に回った。
ひざの具合は、早めにやめたからたいしたことないだろうとたかをくくっていたが、翌日も痛みが残っている。レース中には感じなかった左ひざまでも、歩くと痛む。早くやめて良かった、と思う反面、きちんと治療しなくちゃならないのかな、と不安に思う。
※給水に関して
本年6月のサロマ湖マラソンで脱水になって以来、2ヶ月経ってもスポーツドリンクやゼリー飲料を胃が受け付けなかった。このため、LSDをしようとしても給水ができず、途中でダウンすることを繰り返していた。
これまで、ウルトラマラソンやロングトラを走っても胃をやられるということがなかったし、日常でも胃薬を飲んだことがなかったので気づかなかったのだが、ふと、UMMLでレース前に胃薬(特におすすめは「ガスター10」)を飲むのがよい、という書き込みがあったのを思い出し、8月始めにダウンした夜、飲んでみた。すると、すぐに胃のむかむかが解消。それで、今回、レース前にガスター10を飲んでスタートした。
第19回 日本海オロロンライントライアスロン国際大会兼北海道選手権大会
2005.8.21
かつてない練習量のまま、第19回オロロントライアスロン大会への参戦となった。
オロロン参加は第12回大会以来。このときはラン途中で土砂降りになり、トップ10数人がゴールしただけの状態で大会がストップ(中止)となった。
もっぱらのうわさでは、来年の第20回で大会が終了するとのこと。ラストオロロンとなると申し込みが殺到して参加が抽選となり、出られなくなる可能性も考えられるため、練習量を省みず、今年申し込んだ。
もう、済んだことなので白状するが、昨年の佐渡トラ出場以後、私の走行距離は以下の状況。とても”練習”とは言えない。
ラン:くびき野100km、萩往還 約120km、7〜8月 約10km×3回程度
バイク:8月6日 45km、8月19日 30km (この2回だけ)
スイム:7〜8月 ウェット着て海で約1km×2回、2km×1回、 プール2日
萩などは最初から完走できるとは思っていないので、行けるところまで行ければ良い、と気楽なのだが、オロロンはラストになる可能性もあり、できれば完走したいと思っていたものだから、不安この上ない。まぁ、バイクのトラブル、足の故障さえ発生しなければ、そして欲を出さなければなんとかゴールまでは行けるだろう、と言い聞かせ、自分を納得させて開会式に臨んだが、それにしてもこの数字、事前には人にはとても言えない。
8月19日(金)の早朝、フェリーで小樽港着。そのまま宿泊先の黄金岬キャンプ場(留萌市)に移動し、8時過ぎにはテント設営し、ぼんやりしていた。そこに、同じフェリーでやってきた東京のAさんがバイクで登場。ちょっとトンネルまで行きましょうよ、と誘われて走ったのが上記、バイクの30kmであった。Aさんに誘われなかったら、それすらしなかったところ。
翌20日、開会式。会場の体育館では、レースナンバー順に椅子が並べてある。これで出席の確認もしている模様。ひとつ違いのナンバーのHぴょんさんと数年ぶりの再開。いきなり、「ホームページ更新してますぅ?」と先制攻撃される。
【スイム】:2km 増毛漁港内 天候:曇り ほとんど無風
8月21日、朝6時半、スイムスタート。
いつものごとく、最後尾からゆっくり入水。大勢が一斉に入るので、隣の人とぶつかったり、手を蹴られたりすることはよくあるのだが、今回、初めて頭を蹴られ、ゴーグルがずれて右目に海水が入ってきた。これだけは心配で何度もゴーグルを直す練習をしていたが、初めてその成果を発揮できた。
ゴーグルを直している間に集団からはなれ、コースロープを右に見ながらの単独泳となる。ときどきヘッドアップして進路を確認するが、どうも今回は左に曲がる傾向があるみたいだ。常に監視船が私の左側にいたような気がするが、それは気のせいか?
第1ブイを右に回ると港の外に出る。海岸線とほぼ平行に泳ぐ。波はほとんどないが、ややうねりがあるようだ。ゆーら ゆーらと身体が揺れる。
第2ブイを右に回ると、海岸に向かう。コースロープについているブイには黄色い三角の旗が立っている。コースロープの先のほうにも大きな黄色い旗が見える。あれが第3ブイの目印だな、と勝手に確信したのが間違いだった。しばらくして気づく。それは海岸沿いの道路にどこかのチームが仲間の応援のためにたてたものだった。ちょっと方向が違った。やっぱり監視船ににらまれている気がする(気のせい?)。コースロープとその脇を泳ぐ人たちを確認し、そちらに軌道を修正する。
第3ブイを回る。港の入り口の防波堤が見え、その手前に監視船がいる。監視船に阻まれてその先が見えないが、そこを過ぎればゴールが見えるはず。ゴールが近くなるといつも不安になる。制限に間に合うだろうか、と。そして、いつもと同じく「今回はちょっとコースを見誤って膨らんだけど、そんなにロスしてないはず。ちゃんと進んでいるんだから大丈夫なはずだ。」と言い聞かせる。
監視船には、どうやら実況中継のアナウンサーも乗っていたようだ。ゴールしたら、実況中継がゴールエリアに流れていた。
あと20mくらい、と思ったとき、急に私の左前方に人が現れた。初完走を目指すチームメイトのMさんだった。Mさんに続いてスイムゴールする。約47 分。ぴったり予定通りのタイムでほっとする。第1関門クリアだ。2年前まではスイムさえクリアできたらもうあとは楽勝だったんだけどなぁ、、、
バイクラックに行くと、隣のHぴょんさんがトランジット中だった。私のスイムの遅さに付き合わなくて良いのに。「何、のんびりしてるの?」という言葉かどうか忘れたが、そんな意味の声をかける。「ははは、、、」と笑いながらも支度を済ませ「ではお先に」と出て行った。
あとでリザルトを見ると、Hぴょんさんのスイムゴールは私の6秒前だった。
私のスイムタイム47分02秒。341人中302位。まずまずだ。
【バイク】:200.9km 増毛町−留萌管内9市町村経由−遠別町 天候:晴れ
この1年、まったく練習していないバイク。私にとっては得意種目だったのだが、昨年の佐渡で練習不足による衰えを実感し、今年はなおさら練習不足というよりほとんど練習ゼロ状態なので、実はもっとも不安を感じていた。どこまでいけるだろうか、、、
走り出しは、軽い。ペダルが回る。これは一昨日、Aさんに誘われて30kmとはいえ、走った賜物である。すぐに3人ほど抜く。スタートして1km ほど海岸堤防裏の平坦路を走った後、50mくらいのほんのちょっとした登りがある。こんなところで足を使っても仕方ないので、ゆっくり登る。と、先ほど抜いたうちの一人に抜かれる。
走り出しはペダルが軽いものだから、迷った。練習してなくてスタミナなんてないんだから、調子に乗って走ってたらとても200kmもつわけない。かと言ってスピードを落としたところで体力温存とも言えない。負荷になっていないんだから、軽く回るんだったらまわしていこうか、、、 それにしても、尿意を感じる。うーん、どうしよう、、、
しばし考えたが、「よし、なるようになるさ。いつものような気合は入れないが、追撃モードで行くか!」ということにした。そして、留萌市の先の海水浴場の公衆トイレ(25km地点付近)に寄ることにした。
留萌市までの10数km、先ほど抜かれた人と2回くらい前後しただろうか。そうしながらもいつものようにごぼう抜きする。でも、これだと100kmくらいで沈没するパターンだよな、、、
留萌市街を抜けたところで、前方にHぴょん号を発見。声をかけて抜く。さらに約5km行った所で予定のトイレに入るために停車。するとすぐにHぴょん号が抜いていった。どうやら私が抜いた後、スピードアップしてついてきていたらしい。
降車してみて、股間から臀部にかけてしびれていることに気づいた。トイレに寄らなかったらどうなっていたことやら。
すっきりしたところで、再び追撃開始。この後距離は覚えていないが、たぶん、20km以内のうちにHぴょん号も、スタート直後に前後して走った人も抜いたんじゃないだろうか。
風はほとんど無風か、ちょっと海(左)からの横風。過去出場した2回は、2回ともこの前半部分は追い風だったので、42km/hくらいスピードが出ていた。今回は33km/h前後。練習不足による衰えもあるだろうが、この差は制限時間にもきいてくるため、少々不安を感じる。前回は6時間ちょっとで走っている。今回の目標は6時間半なのだが、やっぱり厳しいかな、、、
50km通過時間が1時間38分。ちょうど目標タイムの1/4だ。前半で稼げないとなると、、、
80km地点くらいの苫前町に入ると、標高差は20m程度であるがアップダウンを繰り返すようになる。以前は登りでもがんがん抜いていたのだが、今回はまるで力が入らない。本当は、スタート直後の坂のように、体力温存のため、と言いたかったのだが、正直なところ、よろよろ登るのが精一杯だった。こんなにも衰えるものなのか、、、
追撃モードは終了してしまった。それでもまだ私のほうがまわりより早い。少しずつ、なおも抜きながら進む。気づくとペダルの回転は落ちていないが、足はすっかり重くなっていた。
110km地点にエイドがある。とにかくそこまでは踏ん張ろう、と思った矢先、前方にK号が見えた。前回の大会では、10数kmの留萌市内で抜いている。スイムの差は前回とそんなに変わらないはずなので、90km地点であるここまで追いつかなかったのは、私の衰え以上に彼女が速くなったのだろうか、、、 また不安感が増す。
100km通過がだいたい3時間半。どうやらバイクで7時間を切るのは絶望のようだ。
オロロンはスタート時刻6時30分。ゴールの制限時刻が20時30分。すなわちトータルの制限時間は14時間。途中の関門もあるが、バイクでパンク修理に時間を食うとか、ランで動けなくなって大休止してしまうとか、一時的に大きくロスしなければ、途中関門は気にしなくてよい。今回、私のレースの組立として、目安として、スイム60分、バイク6時間、ラン6時間で、合計13時間とした。バイクの6時間は少々高望みだが、しかし前回は休憩抜きの走行時間は6 時間06分で走っている。風向きしだいだが、バイクで7時間かかっても、ランで6時間あればなんとかゴールまでたどり着ける計算。
今回、スイムはトランジットを入れて約50分なので目安とおり。しかし、バイクで7時間以上かかると、ランが厳しくなる。そもそも走りこんでいないし、走っているのはウルトラなのでキロ7分〜7分半の走りしかできない。ラン40kmは5時間以上、やっぱり6時間はないと厳しい。そのためには、やっぱりバイクは7時間で走らないとならないのだが、、、
100kmを過ぎると、自分でも明らかにわかるほどスピードが落ちた。90km付近で抜いた人に抜き返される。ついていこうとしたがついていけない。おいおい、まだ半分だぞぉ・・・。
110kmエイドで降車。今回、初めてコーラをもらう。ここまでは、ずっと、バナナ、バナナ、おにぎりの順でもらっていた。飲料は持参のスポーツドリンクのみ。やっぱりコーラはすっきりして、気分的にもリフレッシュされる。ボトルにスポーツドリンクをつぎ足してもらい、尿意は感じなかったが一応トイレに行く。
コースに戻って乗車しようとしたとき、K号が通過していった。
再スタート。再び足は軽くなっていた。よしよし。あとは野となれ山となれ。行けるだけ行ってみるさ。K号を含め、数台をごぼう抜き。でもそのあとは前が遠くにポツリと見えるだけ。まぁ、あわてず、少しずつ追いかけるさ。
ここまで、天気は概ね晴れ。日差しはきついが、気温はそれほど高くなく、風はさわやかなので走っている分には暑さはあまり感じない。ところが、 km付近の手塩町を過ぎたあたりから北東の風が強くなってきた。すなわち北東方向に向かうと急激にスピードが落ちる。こりゃ、タイムロスが大きいぞ、、、
バイクコース最北端となるサロベツ原野の日本海側海岸を北上するときもまるでスピードが出ない。なんとか最低でも20km/hは確保するよう、ここは必死だった。足を残そうなんて余裕がない。ここでタイムロスしたらそれこそランの時間がなくなる。海岸沿いを北上するのはたかが5kmあまりだ、、、
右折して内陸に向かえば向かい風は収まるかも、と期待していたが、見事に裏切られた。時々カーブがあって、走行方向によっては一時的には楽になるものの、すぐにまた向かい風。みんなふらふらしている。基本的にはキープレフト。車道の左端を走ることになっているが、私も含め、ついつい中央にふらふら寄ってしまう。
しかしこれも永遠に続くわけではない。南下が始まるととりあえず向かい風の抵抗はなくなった。しかし140kmを超えたこともあり、力がない。オロロンバイクコースの後半にはちょっとしたアップダウンが2つ続くが、この登りはよれよれと大変だった。坂というような坂ではないのだが。
難儀した割りには、150km通過が約5時間。残り50kmを平均25km/h以上で行けば7時間を切れる計算だ。まだ望みはありそうだ。
160km幌延町役場前のエイドで、コーラとバナナを注文したが、コーラを受け取り損ねていったん停車した。すると、Gさんが声をかけて抜いていった。いつ抜いたんだろう。Gさんもこのエイドに止まっていたのかな?
コーラは氷入りのボトルで受け取った。気分もリフレッシュ。足も軽くなったような気がする。Gさんを追いかける。ここから天塩川までは、ちょうど先ほどの風が追い風になる。40km/h以上でる。今回、平坦路では一番スピードが出たんじゃないだろうか。
みんなスピードが出ているみたいで、なかなか追いつかない。やっとGさんの背中が近づいてきた、と思ったら、その後ろにいるのはリレーの部に参加のHさんだった。
二人を抜いたところで、残りが25kmほどとなってきた。バイク7時間、すなわち14時30分までのゴールはやはり無理だが、でもそれほど遅れなさそうである。追い風でもあり、もう、こうなったら足を休めるより時間を稼ぐことを優先させることにする。
スピードを緩めたわけではないが、数名に抜かれる。彼らもラストスパートか。あるいは残りが見えてきて余裕があるのでスピードアップしたのだろうか。
190km手前で追い風の影響もなくなり、スピードダウン。少々疲れを感じる。足が回らなくなってきた。気分が少し落ち込んできたところで、なんと右ひざの関節に痛みを感じ出した。炎症を起こしたような感じ。げぇー、ここまできたのに。ランできるかなぁ、、、
バイクゴールでリタイアしようか、とも思ったが、まぁ、行けるだけ行ってみようかな。やめることを考えるのはその時になってからでいいや。
などと考えているうちにあと3km。そして遠別の街中に。バイクゴールのある道の駅は街を抜けたところにある。なんとか14時35分頃ゴール。7時間15分、309人中176位だった。
わかっていたとは言え、バイクで真ん中より後ろの順位というのはちょっと悲しい。
【閑話休題】
ところで、トライアスロンは3種目というが、種目の切り替え時間も競技のうちなので、2度あるトランジッションが4種目めになる。ショートのレースなどでは、着替え時間を節約するために水着のまま最後のランまで走る人もいる。私はそんな30秒を惜しむような走りをしないのでそこまでしないけど。
オロロンでは、スイムからバイクへのトランジットのときは、バイクパンツをウェットの下に着ているので更衣室には入らない。海から上がったところにあるシャワーの下でウェットを脱ぎ、そのままバイクラックまで走り、バイクの隣でバイクジャージ、靴下、靴、ゴーグル、そしてヘルメットをかぶり、グローブをはめれば終わりである。
バイクからランへは全身着替えるので、更衣室の入り口でバイクシューズを脱いで中に入る。今回、ここで失敗した。バイクシューズをトランジッションバッグに入れ忘れて置きっ放しにしてきてしまった。翌日、閉会式の前に気づき、忘れ物コーナーに置いてあったのでそこで回収できたが、失態である。
【ラン】:41.8km 遠別町−初山別村−羽幌町 天候:曇り
14時42分くらいにキロ7分くらいのペースのつもりで走り出した。走り出した直後は、右ひざの炎症が多少気になったが、すぐに気にならなくなった。足が重いのはしょうがない。まぁ、ゆっくりいくさ。
靴はおニューのターサー。1ヶ月前にインナーソール付きでシューズショップに注文したところ、「今、混んでいて1ヶ月以上かかりますよ。でもオロロンに使うんだったら何とか割り込ませてやってあげますね」とずるをして間に合わせてもらった。でも、一度も履いて走っていない。そのつけが早速出た。どうも紐の結び方の強さがしっくりこない。走り始めは緩すぎた。すぐにきつくしたら甲の部分だけが締めすぎたようで痛い。しかし身体が不自由になりつつあり、かがむのも大儀だったので、我慢することにした。
コースは遠別町から羽幌町まで日本海沿いの国道232号をひたすら南下する。天気が良ければ日本海に沈む夕日を右手前に見ながら、まぶしい思いをしながら走るところだが、今回は曇っていてまぶしくなかった。
国道なので、1kmごとに距離表示(キロポスト)がある。それでペースを確認する。ちょうどキロ6分である。意外と速い。でも、苦にならない。エイド休憩を入れると10kmを70分くらいだろうか。このペースで行けたら40kmで5時間弱。20時までにはゴールできる計算だ。とりあえずこのまま行ってみようか、、、
最初からこんなゆっくりペースで走り出す人はいないようだ。後ろから来る人に次々抜かれる。Gさん、リレーの部のHさんからバトンタッチされた人、チームメイトのU氏(Hさんの旦那)、そしてHぴょんさんも軽快に抜いていった。
水だけの簡易エイドと、食料、スポーツドリンクなどのあるエイドがほぼ2.5kmごとに繰り返し設置してある。気温はそんなに高くなかったと思うが、氷水に浸してあるスポンジが気持ちよい。エイドごとに首筋を冷やす。
10km地点で15時50分。ほぼ70分。予定通りだ。よしよし。
同じペースで走り続けていたつもりだが、15km地点で167時30分。この5kmは40分もかかっていた。まずい。そういえばゴール制限タイムばかり気にしていたが、中間関門もある。中間関門に引っかかっていては論外である。最終関門が30kmだったか、35kmだったか、覚えていないが、とにかくそこまでは最低でも行っていないとならない。歩くのはそこからでも良い。
意を決してペースアップ。結構上げたつもりだったが、キロポストを使ってペースを確認するとキロ6分。最初と同じかぁ。でも、こんなペースでどこまで行けるだろうか。せめて15kmだけでもこれで行ければ、あとはだいぶ楽になるはず。リレーで出ているチームメイトをすぐ抜き返す。
登り坂と言っても、たいした坂はない。しかしだらだらと長い。走るのはきつい。登りは歩くことにしたが、だらだらと長いのでずっと歩いていてはロスが大きい。街灯ごとに歩きと走りを繰り返すことにした。これは正解だったと思う。
ここで気づいた。ラン41.8kmとは言っても、最初の15kmはジョグだった。つまり実質的に走るのはたった15kmで、それで制限時間との余裕を稼げば残りの10kmはまたジョグで良かったのか。そう思うとだいぶ気分が楽になった。
20kmまでの5kmは35分。次の5kmは40分。だんだん落ちてきたが、ゴール制限まではかなり余裕ができた。何度も何度も計算を繰り返す。この分だと30km地点には18時半くらいにたどり着く。そうすれば最後の10kmは2時間かけられる。そう確信できた時、ようやくほっとした。
後半になって、日が落ちて気温も下がったのだろうが、汗は流れ出てこないものの身体は暑い。相変わらず氷水に浸したスポンジが気持ちよい。また、エイドごとに給水を取っていて、お腹がたぽたぽしてきている。ちょっと取り過ぎたようだ。それでも、暖かい味噌汁、ホットコーヒー、そして冷たいコーラがやめられない。
30kmのエイドで18時20分。ここは最終関門ではなかった。でも、もう関門を気にしなくても大丈夫。しばらく行くとあと10kmの表示。20時前にゴールできそうだ。薄暗がりだったのが、いつの間にか真っ暗になる。気温が下がってきたが、まだ火照った体を冷やすほどではない。ときどきポツリと雨粒を感じるが、もう少し降ってくれたほうが嬉しいな、、、
ところどころ、真っ暗な歩道の脇からボランティアが声をかけてくれる。水たまりが結構ある。私は雨に降られていないが、局地的には降ったのだろうか。走行車両の窓からも時々声援が送られる。ありがたい。
遠くに見えたけどなかなか近づかなかったゴールの町、羽幌の灯かりがようやく近づく。ゴールアナウンスが風に乗って聞こえてくるようになる。何とか無事に帰ってきた。
「あと10km」の表示通過が18時34分。その後は、「あと2km」表示しかわからなくて正確なペースがわからないが、最後の5kmはまたキロ6分程度にペースアップしていたものと思う。最後は余裕でゴールゲートをくぐることができた。ランタイム5時間16分。274人中198位。ゴール時刻が19時 48分だから、最後の10kmはエイドを入れてキロ7分だった。
つぶれるのが恐くて攻めのレースはできなかった。しかし、ペースの緩急はあったものの沈没しそうになることもなく、終始いわゆるマイペースで走ることができて、とりあえずは満足。
総合タイム13時間18分30秒。273人中201位。
2004佐渡国際トライアスロン大会
2004.09.05
新潟に越してから、大会だけでなく、練習もちっともできてない。
エントリーしても参加できるかどうかもおぼつかない状況で、、、
今回も直前に急な仕事が飛び込んできて危うかったのだが、振り切って
フェリーに乗っちゃった、、、
===
【スイム】 3.8km
もともと何とか溺れずに前に進める、というレベル。これまで泳いだ最長
距離が2キロ。その倍近くの距離に不安もあったが、結局練習時間もとれず、
ウェットを来て海で泳ぐのも昨年の新島トラ以来。
1.3+1.1+1.4kmの三角形コース。天候曇り。水温24.5度。風/波はほとんど
なし。言い訳できない絶好のコンディション。朝6時スタート。
いつものように後方からスタートしたつもりだったが、実は2/3くらいだった
らしい。最初は集団の中にいたのだが、気付いたら周りはパラパラ。泳ぎやす
いと思うのも束の間、どちらに進んだら良いのかわからなくなった。ゴーグル
が曇り、遠くにブイが見えると思ったのがライフガードのお姉さんだったり。
相当ジグザグしたようだ。最初の1.3キロが長かったこと。
第1ブイを右に回る。その際、後ろを確認したが人が見えない。最後尾か?
まぁ、心配したところで速く泳げるわけではない。とりあえずあお向けに浮い
て、ゴーグルの曇りを取る。前方確認、、、 うっ、わからん! でも、泳い
でいる人がちらほら見える。だいぶ前と差がついているらしい。2人ほど私の
近くにもいるようだ。まぁ、マイペースで行くかぁ、、、 泳ぎだそうと姿勢
を変えたとたん、左ふくらはぎがつる。まじぃ、、、
我慢して泳ぎだす。ふくらはぎのつりは直に収まる。
ゴーグルはすぐに曇るため、相変わらず前が見えない。コースロープが一応
コース右端に張ってあるが、それも良くわからない。もう、勘で進む。時々
止まって脇のコースロープを確認する。あっ、ちょっと離れたな、と方向修正。
修正しすぎてコースロープに引っかかること2回。
そんなふうにしてコースロープから離れないようにしていた筈だが、何回目
か、顔を上げると脇にライフガードのお姉さんがいる。「コースはずれてます
よぉ−!」と叫んでいる。キョロキョロすると、第2ブイがずいぶん離れたところに見えた、、、
第2ブイを回る。近くに数人いるようだ。ビリではないらしい。
相変わらず曇ったゴーグルで前が見えない。しかし、ここからは陸に向かう。
あお向けに浮かんで曇りを取る。足がつる。くそぉ、、、 がまんしてキョロ
キョロする。どうやらスイムゴール付近にライトが2つあるらしい。これは曇っ
たゴーグルでも確認できる。よし、これで真っ直ぐいけるぞ、、、
でもやっぱり曲がっていた。もしかしたら多少は潮の流れもあったのかな。
それにしても、いつまでたってもライトが近づかない。近くを泳いでいる人
が進んでいるのが見えるし、自分もそれと同じスピードでいるはずなので、
陸に近づいているのは間違いないはずなのに、、、
しばらく我慢して進んでいると、Aタイプ(ロング)の三角形の内側をまわる
Bタイプの人たちが集団で泳いでいるのが見えてくる。ちょうどBタイプの後方と合流した。
BタイプはAタイプより1時間遅れのスタートだが、ゴール制限はA,B共通。
つまり、Bタイプの選手の集団に取り残されなければ、ゴール制限には間に合う
はず。時計をしていなかったのでどのくらいのタイムなのか皆目見当ついて
いなかったが、この時点で制限には間に合うことを確信。ホッとすると同時に
あとはたんたんと腕をぶん回すのみ。もう、足がつるのもゴーグルが曇るのも
気にならない。ふと気付くと、ゴール付近のライトがすぐ近くまできていた。
なんとかスイムゴール。足がつって歩けないかと思ったが、なんともない。
シャワーを浴びながらウェットを脱ぐ。足を抜こうとしたらやっぱりつる。
しかしすぐに収まる。ほっとする。
バイクラックに向かう。私の近くで1人トランジット中だが、それ以外には
見事に自転車が見当たらない。いつもほとんどないけど、こんなにないのは
初めて。ここで初めて自分の自転車についている時計を見る。8時00分。スイム
タイムは、かろうじて目標の2時間を切ったようだ。
正式タイム 1時間57分55秒 546人中538番(ワースト10に入っちまった)
スイム制限タイムは2時間半。30分の貯金ができた。
===
【バイク】 190km
トランジットに入ったところで時刻は午前8時。バイクの制限時間は
16時。8時間で走ればよいことになる。去年までだったら全く余裕ある
時間だとタカをくくっていたのだが、今年は違う。
6月と2週間前のお盆に佐渡一周(つまりこれはこのレースのコース)
をする練習会があって、そのときのタイムは休憩込みだがいずれも8時間
以上かかっている。しかも、最後はヘロヘロで、とてもその後にランを
するような余力は残っていなかった。
もっとも、そのときのメンバーは速い人ばかりで、ランに例えるならば
サブスリークラスの人たちばかり。そんな人たちについていったので
最初で力を使い果たしてしまった、ということもあった。しかしそれ以上に
私自身、まるで練習していないのが大きくこたえていたと思われる。
そんなことがあったものだから、今年はまるで弱気。7時間半が目標
タイム。でも、それすらも自信はなかった。制限時間までなんとか30分の
余裕を持たせることができた。どこまでその余裕がキープできるか、不安
たっぷりにバイクスタートすることになった。
バイクで制限を気にするのは初めて。もともとバイクは得意な方
なので、以前だったら6時間半くらいでは走れたはずなのに、と悲しく思いながら、、、
===
ここのバイクコースは、基本的には佐渡島の外周を時計回りに1周する。
平坦が続くところはほとんどなく、緩やかなアップダウンとカーブの連続。
多少きつい坂はあるものの、長いものはあまりない。
長い坂は3箇所。60km付近のゼット坂と呼ばれるところと、その5kmほど
先の大野亀。そして160kmからの小木の坂。この坂がポイントとなるようだ。
さぁ、追撃開始だ!
といつもならなるのだが、とにかく今回は弱気。つぶれないよう、8割程度で
抑えていくことにしている。力まない程度に、ペダルの回転はスムーズに、、、
いつもは、まばらながらも前を走る人たちの列が見える。そして、それは次々と
ごぼう抜きする対象であった。ところが今回は、まず前に人の姿が見えない。いや、
正確には、バイク乗車した時に、50mほど前に女性がいた。この女性は、いつも通り
すぐに抜いた。しかし次がいないのである。
最初は、佐和田の街中を通るので、沿道には住民の人たちがいて声援を送って
くれる。しかし前に追いつけないのは寂しい、、、
これが、スイムから上がったとき、トランジッションエリアががらぁーんとして
いた意味であった。とっくにみんな行っちゃってる、、、
今回、サイクルメーターは初めて平均時速表示にして走った。前半で30km/hを
キープできれば、6時間で180kmだから、後半多少落ちたとしても7時間で190kmを
走れ切れるだろうという計算をしていた。問題は風向きであるが、幸い、ほとんど
無風に近いようである。
最初はave.32km/hくらいであった。足にも負担を感じない。相変わらず前には
追いつかない。だいたい5km走って1人抜くような調子。そんなに前と離れてしまって
るんだろうか。それとも私のペースが遅いんだろうか。そんな不安も感じたが、
しかし今回は人との争いではなく、制限時間との争いである。というか、制限に間に
合うように走るのが目標である。速く走れてもランの余力がなくなっていては意味がない。
平均時速と、曇天無風という涼しい気候を信じ、このペースで走り続けるしかない。
25km付近であったろうか。ちょっとした登り坂の途中で、声を張り上げている
おばちゃんがいた。「ガンバレー! 今度はランの暑いところで待ってるからそこまで来るんだよー!」
見覚えがあった。2年前、友人の応援で来た時は佐渡大会の歴史の
中でも一番の猛暑だったというが、その時、日差しをさえぎるものがない田んぼの
真ん中で、軽トラの荷台でパラソル差して応援していたご夫婦だ。「こんなだぁれも
いないところだから、毎年きてるのよ」その時、そんなことを言っていた。
そうか。うん、そこまで行かなくちゃな。
平均時速は、登りでスピードが落ちるとそれもすぐに下がる。下りでスピードが
上がっても所要時間が短いので平均時速はあまり上がらない。
ゼット坂が見えてきた。ここまでなんとかave.30.8km/hできている。
ゼット坂に近づくと、人の姿も見えてきた。ようやく前に追いついたか。
ゼット坂に入る。今年練習で来たときは、スタート位置の関係で、150km地点に
なっており、その前でかなり体力も消耗しているのでヘロヘロになって登っていた。
しかし、本番ではまだ60km地点。しかも省エネ走行してきてるので、元気はたっぷり。
列をなして上っている人たちの横を、すぅっと抜いていくのはやはり気持ち良い。
7〜8人抜いただろうか。
しかし前の集団に追いついたかと少し嬉しくなったのも束の間で、その前はまた
いなくなってしまった。
ゼット坂は1kmで80mほどの登り。登りきったら5kmほど緩いアップダウンが続き、
そして海岸まで一気の下り。海岸沿いのアップダウンをさらに2kmほど行くと大野亀
の坂になる。大野亀の坂は、1kmで50mくらいの登り。数字で見るとたいしたことない
が、ゼット坂の後なのできつく感じるんだろうか。
大野亀ではYさんが応援しているよ、と聞いていたので、それも楽しみに大野亀を元気よく
登ったのだが、、、はたして、いなかった。遅すぎたらしい。
平均時速は28km/h台に下がっていた。これじゃぁ危ないな、、、
それにしても、だいたいが私は下りが大苦手で、私より下りが遅い人はいないん
じゃないかと思うくらい常にフルブレーキングするのだが、レースになるとなぜか
恐怖心が失せるのが不思議だ。上記の一気の下りなんかは練習ではほとんど止まる
ようなスピードしか出せないのに、今回、半分はノーブレーキで通過してしまった、、、
大野亀を過ぎるとしばらくは細かいアップダウンの連続。相変わらず一人旅。
平均時速は何とか29km/h台をキープ。
練習会で来たときは、この先約30kmの両津港が起終点。すなわち最後の30kmで、
取り残されてヘロヘロになりながら走っていたあまり気分の良くない箇所。そんな
思いがあったが、本番ではまだ70kmを過ぎたばかり。とにかく力んでオーバーペース
にならないように、登り坂でも頑張り過ぎないように気を付けて進む。
突然、右膝関節に痛みを感じ出した。えっ?、そんなぁ、、、。まだ半分だぞ。
ランも残ってるのに、、、。
激痛というほどではない。すぐに治まったが、またしばらくしたら痛んだ。
なんだかガソリンがなくなりかけて、警告ランプが点いたり消えたりしているような
感じ。まいったなぁ、、、
80km過ぎ、エイドが見えてきた。一旦降車することにする。
コーラをガブガブのみ、ボトルにスポーツドリンクを補充する。バナナ、オレンジ、
おにぎり、梅干など、少量ずつひと通りもらう。
「ここのコースはきついの?」「きついから来る甲斐があるんですよ。」
「少しは風があった方が涼しくていいでしょう?」「向かい風になったらきつい
から無風の方がありがたいです。」ボランティアのおばちゃんとそんな会話。
トイレによってから出発。この間、約10分。
90km地点通過が11時半くらいだったろうか。正確なタイムは覚えてないが、
スタートしてから約3時間半でほぼ中間を通過したように思う。だいたい予定通り
で、ほっとした。後は右膝関節痛がひどくなりませんように、、、
相変わらず5kmくらい走っては一人に追いつく、という状態で、ほんとに大会に
出てるんだろうか、と寂しく思うような感じだったが、ところどころにある民家の
玄関には声援してくれる人たちがいる。それが励みになった。
そのままこれといった変化なく、緩やかなアップダウンをクリアしながら150km
通過。時刻は13時50分。やったぁ!
残りは40km。制限時刻は16時。つまり、あとは20km/hで走っても良いことになる。
間に合った。ここで初めてバイクゴールできることが確信でき、嬉しくなる。思わず
にやけてしまった。
さぁ、そろそろ小木の坂だ。小木の坂が160km地点という距離まで覚えていなかっ
たが、地名からそろそろ来るな、と思いながら進んでいた。港が見えてきた。よし、
いよいよだな、と思ったら、その手前の羽茂(はもち)港。ありゃ、気合入れ直さなくちゃ。
小木の町に入る。坂の手前にエイドがある。コーラのボトルを受け取り、3口くらい
飲み、そのまま返す。気分もリフレッシュ。
小木の坂は、2.2kmくらいで約140m登る。勾配は、最初がきつくて後半は緩くなる
ので、坂としてはそんなに厳しいものではない。しかし、160kmという距離を走った
あとでは、体力の消耗程度によってはきつく感じる。
今回、私は押えて走ってきたおかげか、それほどでもなく通過できた。
ホッとしたのも束の間、ギアチェンジを失敗してチェーンがはずれる。普通だった
らシフトレバーの操作ではめられるはずなのに、はまらない。まずい、変なところに
噛み込んだか? 降りて確かめる。引っかかっているだけだった。良かった。こんな
ところでトラブルにはまったら完全にアウトだ。
実は、その後、私にとっての難関がもう1つあった。佐渡のコースの中で、多分、
一番長い直線の下り。道路幅も広いので、みんなぶっ飛ばす。いつもは当然、フル
ブレーキングで慎重に下るのだが、やっぱりどうかしていた。スピードメーターは
58〜59km/hを示している。もうじき急カーブになるのを知っているのに、なぜか
ブレーキに手がかからない。いや、かかってはいたのだが、握れない。どうしちゃったんだろう、、、
心臓をバクバク言わせ、対向車線にはみ出しながらも何とかクリア。恐かったぁ、、、
対向車も、周りを走る自転車もいなくて良かった、、、
とりあえず最後の難関も怪我することなくクリア。あとは緩やかなアップダウンの
繰り返し。時間的にももう問題はない。半分にやけながら、無事バイク関門を通過
できる嬉しさを感じながらサイクリング気分。
真野の商店街に入る。あと10kmだ。この10kmが意外と長く感じるんだよな。まぁ、
時間の問題はもうない。ランに向けて少しペース落とすか。バイクゴールは、この分
だと15時半。ゴールの最終制限時刻が21時だから、ランの時間は5時間半。キロ7分で
走れば42.2kmは5時間。行けるじゃないか。完走も視野に入ったぞ。
ランコースと重複するところに入る。もしかしたら知った人がいるかな。と余裕を
かまそうとしたら、左折させられた。ランコースと分けて裏道を行くらしい。それ
は知らなかった。てっきりランコースと平行する裏道があるものと思ったが、違った。
くねくねと細い道。コース誘導もなく、間違ってないか不安になった頃、コース誘導を
見つけホッとする。そしてまたランコースと合流。佐和田の商店街を抜け、無事、
バイクゴール。予定通り、15時30分。
【トランジット】
バイクゴールし、自分の場所に戻る。これまた見事にバイクラックは埋まっている。
こんな光景、もう見たくないなぁ、、、
さて、着替え。天気はずっと曇っていたのだが、13時半頃、つまり小木の坂の手前
を走っている頃から青空が広がって暑くなっていた。日没まではサングラスは欠かせ
ない。日没後にはずしたサングラスをしまえるよう、背中にポケットのあるバイク
ジャージで走ることにする。
着替えを終えて、トランジッションエリアを出たところが計測ポイント。すなわち、
バイク前と後の2度のトランジットタイムはバイクタイムに加算される。
バイクの正式タイム 7時間37分31秒 511人中384番
通過タイム 9時間35分26秒 511人中454番
なんと、バイクタイムは全体の3/4にも入っていなかった。抑えて走ったにしても、
私としてはちょっとショックなタイム。道理で前に追いつかなかったはずだ、、、
===
【ラン】 42.2km
ランの距離は42.2km。アップダウンのほとんどない国中平野を概ねTの字に走る。
Tの字の下が起終点。T字路の左折地点が約13km。左折後の第1折り返しが17.7km。
T字路を直進し、第2折り返しが25.6km。三度目のT字路部分が約29km。
アップダウンがほとんどない、と思ってたけど、実際、疲れた身で走ってると、
ちょっとしたアップも走れないもんですね、、、
気合を入れ直して走り出す。バイクで何十人か抜いたおかげで、すぐ前にも
ランナーがいる。後ろからも次々とやってくる。これなら張り合いがある。
と思ったのも束の間、右膝関節の痛みがぶり返してきた。バイク終盤ではほとんど
感じなかったのに、、、
いったん立ち止まってさすってみる。膝が極端に冷えている。少し暖めないと
だめだな。でもあまりゆっくりしている時間はない。少し歩くことにする。すぐに
痛みはやわらぐ。徐々に走り出す。よし、行けそうだ。
佐和田のアーケード街に入る。またここに帰って来られるかな。バイクでゴール
してくる人たちとすれ違う。あっ、あの坂で抜いた人。この人はあそこで抜いた人だ。
何人か、抜いた覚えのある人たちがいた。パラパラとしか抜けなかったので意外と
印象に残っていたようだ。こんなことも今までないなぁ、、、
そんなことを考えていたおかげか、けっこうまともに走っている自分に気がついた。
ペースは体感でキロ7分。今年はこれ以上速く走ってないけど、今はこれ以上速く走る
必要はない。このペースで淡々と刻んでいけば十分だ。ときおり軽快に抜いていく
人がいる。しかし、つられてペースアップする必要はない。そう自分に言い聞かせる。
それにしても暑い。雲ひとつない晴天。日影もほとんどない。ちょっとした木陰が
すごくありがたく感じる。うーむ。でももうそろそろ16時。だんだん太陽高度が下が
り、ときおりある影がだんだん伸びてくるのがわかる。こんなことを感じながら走る
こともそうそうないなぁ、、、
5キロ地点のエイド到着が16時10分。ランスタートが15時35分だったから、ぴったり
キロ7分で走ってきたことになる。思わずにやける。
エイドではコップで冷たいお茶とアクエリアスを1杯ずつもらう。氷ももらい、帽子
の中に入れて走り出す。エイドの先のトイレで小用を足す。
田んぼの中の道路に差し掛かった。そう、バイクの序盤で応援していたおばちゃん
が元気に声援を送っていた。「早く帰っておいでぇー!」
帰りには立ち止まって、2年前にお話しさせてもらったことを言おうかな、、、
ん? なんかお腹が痛くなってきたぞ。下腹部を触ると、これまた冷たくなってい
る。汗をかいて濡れたウェアがお腹を冷やしていたようだ。こりゃまずい。首に巻い
ていたタオルをはずし、汗をよく絞って折りたたみ、パンツのゴムに挟んでお腹に
当てる。濡れたウェアが直接肌に当たらなくなっただけでもずいぶん楽になった。
よしよし、危機脱出。
平坦なところは、じっと我慢のキロ7分走行ができていたが、ちょっとした登りが
きつく感じ始めた。これも我慢のしどころだが、元気があるのなら我慢しないで早
歩きする方が良いことを萩で学んでいたのを思い出した。坂がきついと感じたら迷わ
ず歩き、勾配がゆるくなったらすぐに走り出す。並走していた人が先に行っちゃって
も気にしない。帰りはこの坂は下りになる。
ランコースは平坦だと思っていたけど、意外と坂が多かった。
10キロ地点のエイド到着は16時45分。この5キロもぴったりキロ7分ペースではない
か。よーし、この調子、この調子!!
<未完>後日書き加えます かな?